生コラーゲン

アテロコラーゲンとは

アテロコラーゲンとは、アレルギーなどの原因となる抗原性(ウイルスや細菌などの生体に免疫応答を引き起こす物質)を誘起する分子を除去したコラーゲンです。

コラーゲン分子の中で抗原性を誘起する因子は「テロペプチド」と呼ばれ、図のようにコラーゲン繊維分子の両端にあるテロペプチド同士が互いに結合してコラーゲン分子同士の架橋を形成します。また、テロペプチドを持ったコラーゲンを「トロポコラーゲン」と呼びます。

人間などの動物の体内では、トロポコラーゲンが架橋を形成しながら「不溶性コラーゲン」を形成して骨や皮膚の強度や弾力性を担っています。トポロコラーゲンからテロペプチドを取り除くには、ある種の酵素を用いる方法とアルカリ処理をする方法があります。

抗原性を誘起する因子であるテロペプチドを取り除いたものを、「アテロコラーゲン」と呼びます。

アテロコラーゲンの利用

アテロコラーゲンは、抗原性が非常に低いのでアレルギーなどを起こすことがないため、医療用のインプラント材料として美容治療に利用されています。また、組織工学用の足場材料として、軟骨細胞培養などの再生医療にも利用されたりします。

安全性の高さから一部の化粧品やサプリメントにも利用され、原料自体も高額なことから、通常のコラーゲンやコラーゲンペプチドを使用するものより高級品として差別化されています。

ただ、コラーゲンサプリメントを食べてアレルギーが出ない限り、高額なアテロコラーゲンでなくても一般的なコラーゲンペプチドのサプリメントで十分だと考えます。

コラーゲンの種類

コラーゲンの種類を正しく知り、それぞれの効果を効率良く利用しましょう。

アテロコラーゲンとコラーゲンの違い

アテロコラーゲンとコラーゲンの大きな違いは、「抗原性」です。

抗原性とは、免疫細胞上の抗原レセプターに結合し免疫反応を引き起こさせる物質でてある「抗原」が「抗体」(体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの微生物や、微生物に感染した細胞に結合して除去したり免疫反応を示すもの)に結合することができる抗原の性質です。

アテロコラーゲンは、コラーゲンやゼラチン、加水分解コラーゲン(コラーゲンペプチド)に比べ、とても抗原性が低いのです。その結果、生体組織や器官と親和性があり、異物反応や拒絶反応などが出にくいコラーゲンとなっています。

また、製造方法にも違いがあります。通常のコラーゲンは「ゼラチン」と「コラーゲンペプチド」のことを指しますが、その製造方法は、コラーゲンを酸またはアルカリで前処理後に加熱溶解してゼラチンとして抽出し、それをさらに酵素分解等で低分子化したものがコラーゲンペプチドとなります。

一方アテロコラーゲンは低温抽出によって製造されるため、α鎖の3重らせんが残ったままの高分子コラーゲンです。

コラーゲンとゼラチンとコラーゲンペプチド

コラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチドは、コラーゲンの”状態”が変わっただけで、構成するアミノ酸の組成はほぼ変わりません。

コラーゲンは、繊維状のタンパク質が3本集まって、螺旋の鎖構造をしています。私たちが普段食べている肉などに含まれるコラーゲンは、生のままでは人間の消化酵素や体温ではほとんど消化できません。ですので、加熱することによってコラーゲンがゼラチンに変性して消化できるようになります。魚由来のコラーゲンは、変性温度が人間の体温より低いことから、生で食べても消化できるようになっています。

ゼラチンは、コラーゲンに熱を加えて変性させたものです。熱を加えることによって、絡み合った3本のアミノ酸鎖がほどけます。コラーゲンのアミノ酸鎖がほどけたゼラチンは、水にも溶けますし消化できるようになります。また、冷やすとゲル化して固まる性質があるため、料理やお菓子などに広く利用されています。

コラーゲンペプチドは、ゼラチンを酵素分解して低分子化したものです。コラーゲンやゼラチンと比べて、吸収性も高くペプチドが持つ特性が健康に役立つ可能性があるとも最近の研究で言われています。コラーゲンを摂取する場合は、コラーゲンペプチドが最も効率が良い方法です。

アレルギー表示とゼラチン

現在、食物アレルギー症状が明らかである食品のうち、表示する必要性の高い食品7品は特定原材料として定められています。(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生)

ゼラチンは、食物アレルギー症状を示さない物質と今まで考えられていました。しかし、日本では、ワクチン接種などの特別な事情により、一部の方にゼラチンアレルギーの発症例がありました。その後は原因が判明しゼラチンアレルギーは解消されましたが、安全とされてきたゼラチンであってもアレルギー表示が“奨励”される食品となりました。ゼラチンを、一般的に利用される限りは、安全性が高い食品だと考えます。

もし、コラーゲンが心配だという方は病院で受診することも可能です。血清中のゼラチンに対して抗体の量を測定し、ゼラチンアレルギーかどうかを判断します。