コラーゲンペプチド粉末
コラーゲンとは

あなたは、コラーゲンについてどのくらいご存知でしょうか?

コラーゲンは、美容や健康を目的としたサプリメントやドリンク、様々なコスメアイテムに配合され、その商品は星の数ほどあります。

ですから、コラーゲンに関する情報も溢れかえっているわけですが、特にインターネットで説明されているコラーゲンの情報は発信者の利益になるように誘導されたものが多く、実は正しくない情報も多いんですね。

そこで、サプリメントのプロとして長年コラーゲンを扱ってきたわたしが、コラーゲンについて改めて詳しく解説してみます。

コラーゲンの語源

コラーゲン(collagen)という言葉はラテン語に由来しています。

ラテン語で「膠(にかわ)」を意味する「コル(col)」と、「素になるもの」を意味する「ゲン(gen)」がつながって「コラーゲン(collagen)」という言葉ができました。

膠(にかわ)とは、動物の骨や皮を煮出して固めたもので、その起源は古代エジプト時代と言われ、日本でも古くから接着剤として利用されてきました。

動物の骨や皮を煮出して固めたものと言えば「ゼラチン」ですから、「ゼラチン(膠)」の「素になるもの」が「コラーゲン」ということなんです。

コラーゲンはタンパク質

タンパク質とは20種類のアミノ酸が繋がった高分子化合物で、生物を構成する重要な成分ですが、コラーゲンはそのタンパク質の一種なのです。

そして、人間の体のタンパク質の約30%がコラーゲンで、皮膚や靱帯、骨や軟骨などを構成しています。

また、コラーゲンは細胞外基質(細胞外マトリクス)の主成分で、細胞同士の接合や弾力や強度を与える重要な役割を担っています。

コラーゲンの構造と役割

コラーゲンは「繊維」

コラーゲンはタンパク質でできた「繊維(線維)」(せんい)と考えられます。

3本のアミノ酸の鎖がらせん状に編まれた状態でコラーゲン分子となっています。

このアミノ酸で出来た線維のコラーゲン分子が、さらに集まってコラーゲン繊維となり、皮膚や骨などの骨組となっているわけです。

図は、皮膚の真皮でコラーゲン繊維がエラスチンに束ねられて網目のように存在し、その間にヒアルロン酸を蓄えて皮膚のハリや弾力を担っている様子です。

そして、このコラーゲン繊維はコラーゲン細線維が束になっており、コラーゲン細線維は約300㎚(ナノメートル:10億分の300m)のコラーゲン分子が架橋構造によって縦横に規則正しく繋がったものです。

また、コラーゲン分子は細胞で作られた「トロポコラーゲン」の両末端が切られたもので、コラーゲンの最小線維であるα鎖と呼ばれるアミノ酸の鎖3本で螺旋構造になっています。

コラーゲンの最小線維であるα鎖では、グリシンというアミノ酸が間に2種類の他のアミノ酸を挟みながら規則正しく繋がっています。

まさにこの体内に存在する状態がコラーゲンなのです。

ですから、牛肉の刺身などを食べてもそこに含まれるコラーゲンは人間の消化酵素や体温ではほとんど消化できません。

コラーゲンの役割

このような線維であるタンパク質のコラーゲンは、皮膚では皮膚全体の乾燥重量の何と約70%を占め体の外側を形作っています。

そして、身体を支える骨ではその約25%がコラーゲンで、骨の骨組となる骨基質の約90%を占めています。

骨の骨組とは妙な表現ですが、「骨=カルシウム」ではなく、例えると「コラーゲン=鉄筋」「カルシウム=コンクリート」で、「骨=鉄筋コンクリート」というイメージなんですね。

コラーゲンは動物の起源

コラーゲンは「動物の起源」と言えます。

もし、コラーゲンが無ければ単細胞生物から複数の細胞を持つ生物は生まれず、人間のような高等な生物に進化はできませんでした。

前述のように、コラーゲンが体を形作る皮膚の骨組となり、それを支える骨を作っているからこそ動物の高度な進化が実現できたのです。

植物で言うと「セルロース」です。

一般的に「食物繊維」と言っているのがセルロースです。

セルロースは、主にブドウ糖(グルコース)がつながった「繊維」で、植物の高度な進化を実現しました。

どちらも「繊維」が高度な進化の起源というわけですね。

コラーゲンのアミノ酸組成

タンパク質を構成するアミノ酸は20種類ありますが、コラーゲンには他のタンパク質には無いアミノ酸「ヒドロキシプロリン」「ヒドロキシリジン」が含まれており、その特性が注目され始めています。

また、必須アミノ酸のひとつである「トリプトファン」を全く含まないため、栄養価の評価である「アミノ酸スコア」は「ゼロ」で、つい最近まで栄養としては評価されていませんでした。

コラーゲンのアミノ酸組成(Ⅰ型コラーゲンペプチドでの解析例)
アミノ酸
略号
組成
グリシン Gly 23.3%
プロリン Pro 13.7%
ヒドロキシプロリン Hypro 12.3%
グルタミン酸 Glu 10.0%
アラニン Ala 8.4%
アルギニン Arg 7.7%
アスパラギン酸 Asp 4.5%
セリン Ser 3.4%
リジン Lys 3.3%
ロイシン Leu 2.6%
バリン Val 2.2%
スレオニン Thr 1.9%
フェニルアラニン Phe 1.6%
ヒドロキシリジン Hylys 1.5%
イソロイシン Ile 1.2%
ヒスチジン His 0.9%
メチオニン Met 0.9%
チロシン Tyr 0.6%
システイン Cys 0.0%
トリプトファン Trp 0.0%
コラーゲンのアミノ酸組成

図をクリックすると拡大します。
Ⅰ型コラーゲンのアミノ酸組成はグリシンが約1/4を占め、プロリンとヒドロキシプロリンを合わせて26%で3つのアミノ酸で半分というかなり偏った構成となっています。

ヒドロキシプロリンは、コラーゲンの3本鎖らせん構造を安定化させる働きがあり、ヒドロキシリジンは、分子間架橋に関与して細胞外マトリックスを安定化させています。