コラーゲンと亜鉛

コラーゲンが体内で生成されるのに「ビタミンC」が必要だということをご存知の方は多いようです。

また、ウィキペディアなどの詳しい記事では「鉄」も必要だということが説明してあります。

さらに、コラーゲンについて解説している情報の中では「亜鉛」がコラーゲンの生成には必要と書かれたものも多く見かけます。

ビタミンCは「補酵素」として、鉄は「補因子」として、コラーゲンを構成するアミノ酸の「プロリン」と「リジン」を水酸化する酸化還元酵素(ヒドロキシラーゼ)の反応に使われます。

プロリンが水酸化された「ヒドロキシプロリン」は、3本のペプチド鎖間に水素結合を形成して螺旋構造を安定化させます。

リジンが水酸化された「ビドロキシリジン」とリジンは、酵素(リジルオキシダーゼ)の働きによってコラーゲン分子間に架橋結合を形成して、コラーゲン組織特有の強い線維構造を作ります。

このように、ビタミンCと鉄がコラーゲン生成に関わる仕組みはわかっていますが、亜鉛はどのようにかかわっているのでしょうか?

亜鉛の働き

亜鉛は「必須微量元素」として人体にとっても欠かせない栄養素のひとつです。

必須微量元素には、銅やヒ素、ホウ素やフッ素など15種類があり、中でも亜鉛は重要な元素と考えられています。

亜鉛の主な働きとして、

  1. 酵素の構成成分
  2. ホルモンへの働き
  3. 成長・発育への働き
  4. 皮膚代謝への働き
  5. 感覚機能への働き

などがあります。

この中で、コラーゲン生成に関わるのは「酵素」なんですね。

コラーゲンが「線維芽細胞」などの小胞体内で生成されるいくつもの過程の中で、10種類近くの酵素が関わっているのです。

そして、その酵素の多くに必須の元素が「亜鉛」なので、コラーゲン生成には亜鉛が必要だと言われているわけです。

また、コラーゲンを生成する細胞自体の生成にも亜鉛は重要な役割を担っていることもわかっています。

現代人は慢性的な亜鉛不足

このように、コラーゲン生成だけではなく健康自体に大切な亜鉛ですが、平成21年の国民健康・栄養調査では、男性が平均8.8 mg、女性は平均7.3 mgという摂取量です。

亜鉛の1日の摂取推奨量は「日本人の食事摂取基準2010年版」によると、成人男性で11~12㎎、成人女性で9㎎(妊婦+2㎎/授乳婦+3㎎)となっており、現代人は慢性的な亜鉛不足と言えます。

美容と健康のためにコラーゲンを摂取している方は、亜鉛も意識的に摂ることをおすすめします。

また、食材では「牡蠣」に多いことは有名ですが、日頃は「肉」や「魚」をバランスよく食べることで亜鉛不足になりにくいでしょう。

しかし、バランスの良い食事を摂りにくい環境の方はサプリメントを利用するのもおすすめです。

以上、コラーゲンと亜鉛の関係についてでした。