「コラーゲンの補給」では、コラーゲンをサプリメントや食事から摂取しても補給にはならないことを解説しました。
アミノ酸の補給であれば、肉や魚のタンパク質の方がバランスもよくおすすめなのです。
コラーゲンは、そもそも補給されるものではなく古いものから新しいコラーゲンに「代謝」されています。
ここでの代謝とは
のことで、古い劣化したコラーゲンをコラゲナーゼなどの酵素が分解し、線維芽細胞などで新しいコラーゲンが合成されます。コラーゲンの代謝サイクル
通常のタンパク質は、そのほとんどが生体中で球状を示し、水に溶けた状態で存在しています。
しかし、コラーゲンは特有のアミノ酸配列の3重らせん構造が集まった線維状のタンパク質のため、水に溶けない状態で存在して皮膚や骨で体を形作り、その他の様々な臓器でも弾力や強度を与えたり、臓器と臓器を結合させて境界を作ったりしています。
このように、コラーゲンは非常に安定したタンパク質であるため、他のタンパク質の半減期は平均して約80日と言われているのに対して、コラーゲンの半減期は約15年、軟骨や骨ではさらに長いということがわかっています。
コラーゲンと老化
古い劣化したコラーゲンと新しいコラーゲンの代謝がスムーズに行われれば老化しないという理屈になるのですが、そうはいきません。
前記のように半分入れ替わるのに約15年もかかり、その代謝自体も加齢とともに遅くなることで、次第に劣化したコラーゲンが増えてきます。
劣化したコラーゲンが増えるということは、皮膚では張りや弾力が無くなりシワが増え、骨でも弾力が無くなったり骨密度が低下してきたりするということで、正に「老化」するのです。
アンチエイジングは代謝促進
老化の大きな要因が「コラーゲンの劣化」だということなんですね。
ということは、老化抑制(アンチエイジング)には「コラーゲン代謝の促進」ということになります。
コラーゲンを作り出す細胞には「線維芽細胞」「骨芽細胞」「軟骨芽細胞」「象牙芽細胞」「線維随伴細胞」などがありますが、無条件に作り出すわけではありません。
例えば、発育期や創傷治癒時の結合組織ではコラーゲンの生成・分解が盛んに行われ組織が再生されます。
発育期には成長ホルモンであったり、創傷であれば血小板や免疫細胞の変化がコラーゲン生成を促するサインなっているのではないかと考えられています。
サインはコラーゲンペプチド?
古く劣化したコラーゲンはコラゲナーゼなどの酵素によって分解されます。
そして、分解されたコラーゲンはペプチドやアミノ酸となり代謝されるわけです。
一部の学説では、これらのペプチドやアミノ酸がコラーゲン生成のサインになっていると示唆されています。
通常は、実際にコラーゲンが分解されないとコラーゲンペプチドやコラーゲン分解によるアミノ酸は出現しないわけで、自然には加齢とともに新しいコラーゲン生成も追いつかなくなり、老化が進みます。
しかし、近年になって「コラーゲンペプチドを外から導入することで、新しいコラーゲン生成が促進されるのではないか?」と考えられるようになってきたのです。
ただし、まだいくつかの学説であって「コラーゲンの効果を証明するエビデンス」までにはなっていません。
今後の更なる研究と検証が期待されています。