筋肉とコラーゲンの関係

動物の体内に存在するコラーゲンは、動物が進化する根源ともいえることは「コラーゲンとは?」などで幾度か解説してきました。

それは、コラーゲンがタンパク質の線維であり、体を支える骨の体積の約半分を占め鉄筋的な役割を担ったり、体の外側を形作る皮膚の乾燥重量のおよそ70%を占めその弾力や強度や潤いを担い、その他に血管や内臓でもそれぞれの強度や弾力など大切な要素を担っているからです。

そして、体を形作り動かすために発達した筋肉でもコラーゲンはやはり欠かせない役割を担っています。

その筋肉とコラーゲンの関係について、まず筋肉とはどんなものかについて解説してみましょう。

筋肉とは?

筋肉とは、収縮することで力を発生させるという機能によって動物の運動を司る器官で、大きくは「骨格筋」と「内臓筋」に分けられ、 筋細胞で形作られた筋線維の構造の違いによって「平滑筋」「心筋」「横紋筋」に分けられます。

また、意識してコントロールできるかどうかによって「随意筋」と「不随意筋」に分けられ、横紋筋は随意筋に、平滑筋と心筋は不随意筋に属します。

筋肉の分類

  • 骨格筋:骨格を動かす筋肉のことで、全て横紋筋でかつ随意筋
  • 内臓筋:内臓器官を作っている筋肉要素の総称
    • 横紋筋:筋線維を構成するタンパク質が規則正しく並ぶ横紋構造のある筋肉
      • 随意筋:舌・咽頭など
      • 不随意筋:横隔膜・食道の一部など
    • 平滑筋:骨格筋や心筋と異なり横紋のない筋肉で不随意筋、食道の一部を除く消化管・血管など
    • 心筋:骨格筋と同じ横紋筋だが不随意筋、心臓を構成する筋肉

加齢と筋肉の減少

コラーゲンも加齢とともに減少し、また劣化したコラーゲンが増え体全体が老化していきます。

そして、筋肉も加齢によって筋肉を構成する筋繊維数の減少と筋繊維自体が萎縮してしまうことで筋肉量が減少していきます。

筋肉の重量は成人で体重の約40%、個人差はありますが、40歳から年におよそ0.5%ずつ減少し、65歳以降になるとその減少率が大きくなり、最終的に80歳までに30%から40%減少するといわれています。

このような自然な加齢による筋肉の減少に対してコラーゲン摂取が作用するのではないかという研究が発表されています。

2010年に食品化学新聞社の「FOOD Style 21 vol.14 no.7」で発表された研究によると、

コラーゲンペプチドを1年間食べてもらい、骨量や筋重量、脂肪量といったカラダの組成の変化を調べたところ、試合シーズン前のトレーニング期(摂取開始から3ヵ月)において、筋重量が増加。筋重量は通常、トレーニング期が終われば減る一方だが、コラーゲンペプチドを食べたところ、その減り幅が少なくなることもわかった。

ということです。

筋肉とコラーゲンの関係

前記の研究は、スポーツマンに対しての結果ですから、加齢による筋肉量の減少をコラーゲン摂取によって抑制できるのかどうかという視点ではあまり参考になりませんね。

しかし、そもそも筋肉の構造から考えてみると、コラーゲンの劣化を抑制できれば、筋力の低下による様々なリスクを減らすことができるのではないかと考えられます。

筋肉の構造と「筋膜」

筋肉の構造

筋肉としては、代表的な骨格筋を例にしてみました。

筋肉細胞 (筋繊維) 内をその長さの方向に走っている多数の微小繊維である「筋原線維」が集まり「筋線維」となり、その筋線維が束となって「筋肉」が構成されています。

その筋線維と筋線維の集まった筋肉それぞれを束ねているのが「筋膜」と呼ばれる主にコラーゲンとエラスチンで構成される膜です。

この筋膜が、筋肉の収縮を包み込み筋肉を保護し強度を補っているわけですから、筋膜のコラーゲン劣化を抑制できれば、筋力の低下も抑制できるのではないかと推測できます。

身体全体の健康を司るコラーゲン

また、筋膜は筋肉だけを包む膜ではなく、皮下組織から存在する白い薄い膜でもあり、骨や内臓器官、血管や神経など身体のあらゆる構成要素を包み込み、それぞれの場所に適正に位置するよう支えていますから、その筋膜の主成分がコラーゲンということは、実は体全体の健康にかかわっている大きな要素がコラーゲンなんですね。

以上、筋肉とコラーゲンの関係についてでした。