コラーゲンのアミノ酸組成

コラーゲンのアミノ酸組成については「コラーゲンとは?」で当社が運営するコラーゲン専門店で扱うコラーゲンペプチドの例を掲載ていますが、再度アミノ酸組成について解説してみます。

その前に、そもそも「アミノ酸」とは一体なんでしょうか?

一般的には「生体のタンパク質の構成単位」がアミノ酸で、人間では20種類のアミノ酸が筋肉や消化管などの内臓、血中のヘモグロビンや皮膚や骨などのコラーゲンなど重要な組織をつくっています。

「必須アミノ酸とコラーゲン」でも解説しましたが、20種類のタンパク質には、体内で生成できるアミノ酸と、体内で十分な量を合成できないため栄養分として摂取しなければならない「必要アミノ酸」に分かれます。

コラーゲンのアミノ酸組成(Ⅰ型コラーゲンペプチドでの解析例)

Ⅰ型コラーゲンのアミノ酸組成はグリシンが約1/4を占め、プロリンとヒドロキシプロリンを合わせて26%で3つのアミノ酸で半分というかなり偏った構成となっています。
ヒドロキシプロリンは、コラーゲンの3本鎖らせん構造を安定化させる働きがあり、ヒドロキシリジンは、分子間架橋に関与して細胞外マトリックスを安定化させています。
コラーゲンは、皮膚や骨、血管や内臓などの弾力や強度を担うために特殊なアミノ酸組成となっているのです。

アミノ酸
略号
組成
グリシン Gly 23.3%
プロリン Pro 13.7%
ヒドロキシプロリン Hypro 12.3%
グルタミン酸 Glu 10.0%
アラニン Ala 8.4%
アルギニン Arg 7.7%
アスパラギン酸 Asp 4.5%
セリン Ser 3.4%
リジン Lys 3.3%
ロイシン Leu 2.6%
バリン Val 2.2%
スレオニン Thr 1.9%
フェニルアラニン Phe 1.6%
ヒドロキシリジン Hylys 1.5%
イソロイシン Ile 1.2%
ヒスチジン His 0.9%
メチオニン Met 0.9%
チロシン Tyr 0.6%
システイン Cys 0.0%
トリプトファン Trp 0.0%

コラーゲンのアミノ酸組成

図をクリックすると拡大します。

アミノ酸とは

アミノ酸は、肉類や魚類に含まれているタンパク質を構成する栄養素です。私たちの筋肉や皮膚など、身体を作るための重要な役割を担っています。

人間の身体は、肉や魚などのタンパク質を食べると、体内で20種類のアミノ酸に分解されます。その後、体の中で再びタンパク質を構成します。
20種類のアミノ酸は、体内で合成されない9種類の「必須アミノ酸」と体内で合成できる11種類の「非必須アミノ酸」に分かれます。

必須アミノ酸とアミノ酸スコア

タンパク質の評価指標のひとつにアミノ酸スコアというものがあります。「必須アミノ酸が全て存在する場合にはスコアが100点」となります。牛肉や豚肉などは100点です。

コラーゲンには、他のタンパク質には無いアミノ酸ヒドロキシプロリンとヒドロキシリジンが含まれています。しかし、必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンを全く含まないため、「アミノ酸スコアは0」と評価されます。

※下表の赤字「必須アミノ酸」

アラニン アルギニン アスパラギン アスパラギン酸
システイン グルタミン グルタミン酸 グリシン
ヒスチジン イソロイシン ロイシン リシン
メチオニン フェニルアラニン プロリン セリン
トレオニン トリプトファン チロシン バリン

コラーゲンの分子構造

コラーゲンの分子は、1本約10万の繊維状のタンパク質が3本集まって、螺旋の鎖構造になっています。このタンパク質の分子量は約30万という大きさです。これらの鎖がしっかりと結びつき、私たちの組織構造を維持しています。

コラーゲンの分子構造

コラーゲン繊維の最小の1本は、約20種類のアミノ酸がつながった「ポリペプチド鎖(α鎖)」です。体内のコラーゲンで一番多いⅠ型コラーゲンのα鎖は、アミノ酸残基数1,000程度のポリペプチドで分子量は約10万にもなります。

このα鎖3本が左巻きの螺旋状に絡み合い、分子量約30万、長さ約300nm、直径約2nmの細長い棒状のタンパク質となります。これが「トロポコラーゲン」と呼ばれるコラーゲン分子となります。

細胞から分泌されたばかりのコラーゲン分子はN末端とC末端が付いた状態(プロコラーゲン)ですが、その両末端が酵素によって切断されたものが「トロポコラーゲン」です。

このトロポコラーゲン同士が1分子の約1/4にあたる67nmごとに、規則的にずれて各鎖間に架橋結合を形成しながら線維束を作ります。これを「コラーゲン細線維」と言います。

このコラーゲン細線維がさらに多く寄り集まって、結合組織内で強大な線維を形成しており、これが「コラーゲン線維」と言われます。

アミノ酸⇒ポリペプチド(α鎖)⇒トロポコラーゲン⇒コラーゲン細線維⇒コラーゲン線維

上記のように構成されています。

コラーゲンの役割

コラーゲンは、摂取するとアミノ酸とジペプチドやトリペプチドに分解された後に血管を通して全身に送られます。アミノ酸はタンパク質生成の材料になり、ペプチドは必要に応じて、肌や骨、関節、血管などのコラーゲンを生み出す働きを促進します。

また、細胞と細胞の間を埋め合わせて細胞をうまく働かせる役割を果たしています。そして、体内で網目状に張り巡らされて肌のハリや骨のしなやかさ、関節の動きの滑らかさなどを支えています。

特に、骨や関節の中に存在するコラーゲンは、外部から与えられる力に抵抗する大切な役割を持っています。靭帯や、背骨の隙間など、様々な場所ではクッションのように働き、私たちの骨を補強してくれています。

コラーゲンとゼラチンとコラーゲンペプチド

私たちの体内にあるコラーゲンの多くは、三重らせん構造をした繊維状のたんぱく質です。ゼラチンは、そこに熱を加えて三重らせん状のコラーゲン分子がほぐれたものです。したがって、ゼラチンのアミノ酸組成も元のコラーゲンとほぼ同じというわけです。

コラーゲンペプチドは、ゼラチンを酵素などでさらに分解し分子を細かくしたもので、ゼラチンのように冷やすとゲル化するという特性が無くなり、水に溶けやすいという特徴から食品や化粧品分野で広く活用されています。また、コラーゲンペプチドは低分子であるため、特に食品においては消化吸収面からも有利に働きます。

コラーゲンサプリには、主にコラーゲンペプチドが使用されています。手軽に摂取することができ、加工することもできます。毎日、私たちが食べている食事や飲み物などに入れて摂取することができます。