コラーゲンの変性温度とは
コラーゲンの変性温度とは、コラーゲンがゼラチンになる温度のことです。
コラーゲンは3本のアミノ酸鎖がらせん状に絡まった状態で皮膚や骨や関節や血管などの強度と柔軟性、弾力などを 担っていますが、コラーゲン分子のらせん状結合がほどけることでゼラチンに変性します。
変性温度とは
コラーゲン(タンパク質)は、温度を変化させると規則正しい構造を維持できなくなります。高温や極度の低温、凍結などによって構造が変わります。この構造が変化するときの温度を変性温度と呼びます。
水素結合やイオン結合、疎水結合などによって構造を保っていますが、これらが破壊されると変性が起こります。タンパク質の変性は加工食品などによく見られ、ヨーグルトや豆腐などの凝固などが挙げられます。
コラーゲンの変性温度と消化吸収
ヒトや牛や豚などの動物性コラーゲンの変性温度は約40℃~60℃くらいですが、魚などの海洋性コラーゲンの変性温度は数℃~20度前後となっており、その要因はコラーゲン特有のアミノ酸である「ビトロキシプロリン」の含有率によるものと考えられています。
3本のアミノ酸鎖が絡まったコラーゲンの状態では消化しにくく、ゼラチンなどのほどけた状態になると消化できるのです。サプリメントなどで主流のコラーゲンペプチドはゼラチンを酵素分解して低分子化したもので、コラーゲンとゼラチンに比べて分子量が小さいため吸収されやすくなっています。以下でもう少し詳しく説明します。
コラーゲンとゼラチンとコラーゲンペプチド
コラーゲンは、タンパク質の一種で生命の根源ともいえる成分です。繊維状のタンパク質が3本の螺旋鎖構造をしています。コラーゲンを加熱することによってゼラチンに変性します。
ゼラチンは、コラーゲンに熱を加えて3本のアミノ酸鎖がバラバラになったものです。加熱すると水に溶け、冷やすとゲル化して固まる性質があります。コラーゲンのアミノ酸鎖がほどけたゼラチンは、水にも溶けますし消化できるようになります。
コラーゲンペプチドは、ゼラチンを酵素分解で低分子化したものです。コラーゲンペプチドの分子量は非常に小さく数百~数千となります。コラーゲンの平均分子量は、おおよそ30万~36万で、ゼラチンは数万~十数万です。最近の研究では、ペプチドが持つ特性が健康に役立つと期待されています。
コラーゲンもゼラチンもコラーゲンペプチドも、状態が変わっただけで、構成するアミノ酸の組成はほぼ変わりません。
コラーゲンは消化されにくい
コラーゲンは、我々のようなヒトの酵素では消化しにくいのです。例えば、牛肉や鶏肉を生で食べた時、その肉に含まれるコラーゲンはほとんど消化されません。ですが、焼いたり炒めたり、加熱することによってコラーゲンは変性されゼラチンとなって消化できるようになります。
しかし、魚類の変性温度は数℃~20℃と人間の体温より低いため、お刺身で食べても胃でゼラチンに変性して消化吸収できるのです。
魚由来コラーゲンの方が吸収が良い?
このように、生肉と生魚で比較すれば、そこに含まれるコラーゲンの消化吸収性は魚の方が圧倒的に優れています。
しかし、サプリメントなどに配合された動物由来のコラーゲンと魚由来のコラーゲンの比較では本当に魚由来の方が吸収性が良いのでしょうか?
コラーゲンはコラーゲンペプチド
コラーゲンサプリメントやドリンクに使用されているのはコラーゲンペプチドです。
冷やしてもゲル化せず熱にも強いため加工しやすいことから利用されています。
ですから、サプリメントでは動物由来のコラーゲンでも魚由来のコラーゲンコラーゲンでも既に変性されて低分子化されたコラーゲンペプチドですから吸収性はほぼ変わりません。
コラーゲンの摂取によって期待される効果は、分解されても残るいくつかのペプチドにあると考えられます。
また、アミノ酸よりも少し大きなペプチドの状態でも、体内でそのまま吸収されるということが分かってきました。吸収されたコラーゲンペプチドは、肌や関節、骨などの全身に運搬され、線維芽細胞なとそれぞのコラーゲンを作る細胞を活性化させます。
ですから、アミノ酸までの分解率を吸収性としても、効果という点では吸収性が良いから効果があるとも言えないのです。
コラーゲン消化時のアミノ酸とペプチド
コラーゲンの大部分は、アミノ酸に分解されてから腸管で吸収されると言われています。コラーゲンが分解されてできるペプチドは、比較的大きなまま吸収されると言われています。ペプチドのまま吸収される割合は20~30%と言われています。
また、コラーゲンの分解によってできるペプチド(Gly-Pro,Gly-Hypro) は人間の消化酵素では消化されないコラーゲン特有のペプチドで、このペプチドがコラーゲン生成細胞の産生能を亢進させると研究で明らかになっています。