非変性Ⅱ型コラーゲン

コラーゲンは、私たちの体を作る皮膚や骨や筋肉、そしてその細胞や体内の情報を伝達するホルモンなどを構成するアミノ酸からできています。アミノ酸は、タンパク質を構成する有機化合物のことで、皮膚や骨の骨組としてその強度弾力をになっているコラーゲンもアミノ酸で構成されています。

人体のタンパク質を構成するアミノ酸には、20個もの種類あります。20種類のアミノ酸は、体内で合成されない9種類の「必須アミノ酸」と体内で合成できる11種類の「非必須アミノ酸」に分かれます。

アラニン アルギニン アスパラギン アスパラギン酸
システイン グルタミン グルタミン酸 グリシン
ヒスチジン イソロイシン ロイシン リシン
メチオニン フェニルアラニン プロリン セリン
トレオニン トリプトファン チロシン バリン

これらのアミノ酸は、私たちの筋肉や皮膚など、私たちの身体を作るための重要な役割を担っています。

必須アミノ酸とは?

必須アミノ酸は、体内で合成されないアミノ酸「バリン・ロイシン・イソロイシン・メチオニン・リジン・フェニルアラニン・トリプトファン・スレオニン・ヒスチジン」の9種類となります。

9つの必須アミノ酸の役割を簡単にご紹介したいと思います。バリン、ロイシン、イソロイシンは、BCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれ筋肉をつくるのに必要不可欠です。メチオニンは、タンパク質を構成する際に最も必要な役割があり、不足した状態だとタンパク質合成に支障を及ぼす可能性があります。

リジンは、脂肪をエネルギーに変える物質の材料となります。フェニルアラニンは、脳に関わる伝達物質の材料になります。トリプトファンは、心を安定化する脳内ホルモンを増やす材料となります。ヒスチジンは、神経機能に関わる役割を担っています。

これらの9つの必須アミノ酸は、体内で合成できないため食事や手軽に摂取できるサプリメントで補わなければいけません。

アミノ酸スコアとは?

アミノ酸スコアは、必須アミノ酸がそのタンパク質にバランスよく含まれているかどうかを判断する数値として表すことができます。必須アミノ酸が全て存在する場合、スコアが100点となります。

豚肉(ロース)、アジ(生食)、鶏卵、牛乳、大豆などは必須アミノ酸が全て存在しているのでスコアは100点となります。アミノ酸スコアが100以下の食材でも、複数の食材と摂取することによってアミノ酸スコアは向上し効率的にタンパク質を合成することが期待できます。

一方で、必須アミノ酸が1つでも足りていない場合は、アミノ酸スコアはゼロとなってしまいます。

コラーゲンのアミノ酸組成

コラーゲン繊維の1本は、約20種類のアミノ酸がつながった「ポリペプチド鎖(α鎖)」で構成されています。このα鎖3本が左巻きの螺旋状に絡み合い、分子量約30万、長さ約300nm、直径約2nmの細長い棒状のタンパク質となります。これが「トロポコラーゲン」と呼ばれるコラーゲン分子となります。

細胞から分泌されたばかりのコラーゲン分子はN末端とC末端が付いた状態(プロコラーゲン)ですが、その両末端が酵素によって切断されたものが「トロポコラーゲン」です。

このトロポコラーゲン同士が1分子の約1/4にあたる67nmごとに、規則的にずれて各鎖間に架橋結合を形成しながら線維束を作ります。これを「コラーゲン細線維」と言います。

このコラーゲン細線維がさらに多く寄り集まって、結合組織内で強大な線維を形成しており、これが「コラーゲン線維」と言われます。

アミノ酸⇒ポリペプチド(α鎖)⇒トロポコラーゲン⇒コラーゲン細線維⇒コラーゲン線維

上記の流れとなります。

コラーゲンはアミノ酸スコア「ゼロ」

アミノ酸スコアは、必須アミノ酸がひとつでも欠けている場合、アミノ酸スコアは「ゼロ」となります。コラーゲンは、必須アミノ酸の「トリプトファン」を全く含まないためアミノ酸スコアはゼロとなります。

その結果、コラーゲンはタンパク質の栄養素としては評価されてきませんでした。

ですが、コラーゲンには他のタンパク質には無い「ヒドロキシプロリン」と「ヒドロキシリジン」というアミノ酸が含まれています。ですので、コラーゲンはアミノ酸の“効果”をもたらしている要因だという学説もあります。

コラーゲン特有のアミノ酸組成と効果の仕組み

コラーゲン繊維の最小の1本は、約20種類のアミノ酸がつながった「ポリペプチド鎖(α鎖)」と呼ばれます。体内のコラーゲンで一番多いⅠ型コラーゲンのα鎖は、アミノ酸残基数1,000程度のポリペプチドで分子量は約10万にもなります。

Ⅰ型コラーゲンのアミノ酸組成は、グリシンが約1/4を占めておりプロリンとヒドロキシプロリンを合わせて26%で3つのアミノ酸で半分というかなり偏った構成となっています。

ヒドロキシプロリンは、コラーゲンの3本鎖らせん構造を安定化させる働きがあり、ヒドロキシリジンは、分子間架橋に関与して細胞外マトリックスを安定化させる役割があります。

コラーゲンは、皮膚や骨、血管や内臓などの弾力や強度を担うため、他と比べて特殊なアミノ酸組成となっているのです。