コラーゲンの分子量

コラーゲンの平均分子量は、おおよそ30万~36万で、ゼラチンは数万~十数万、コラーゲンペプチドは数百~数千と非常に小さくなります。

コラーゲン繊維の最小の1本は、約20種類のアミノ酸がつながった「ポリペプチド鎖(α鎖)」と呼ばれます。体内のコラーゲンで一番多いⅠ型コラーゲンのα鎖は、アミノ酸残基数1,000程度のポリペプチドで分子量は約10万となります。

そして、このα鎖3本が左巻きの螺旋(らせん)状に絡み合い、分子量約30万で長さ約300nm(ナノメートル)、直径が約2nmの細長い棒状のタンパク質となり、これを「トロポコラーゲン」と言いコラーゲン分子のことを指します。<1nm=100万分の1㎜>

サプリメントのコラーゲンはコラーゲンペプチド

サプリメントに多く利用されているコラーゲンペプチドは、冷えてもゲル化しないためドリンクやタブレットなどに加工しやすいため使用されています。身近にある、「低分子コラーゲン」などという表現を目にしますが、あれはコラーゲンペプチドのことです。

つまり、コラーゲン配合サプリメントのほとんどはコラーゲンペプチドが原料なのです。巷では、コラーゲンと表現していますが、周知されていないコラーゲンペプチドとはあまり表現していないのです。

このペプチドと呼ばれるものは、アミノ酸が50個未満2個以上のものです。一方で、アミノ酸が50個以上結合したものがタンパク質として分類されます。

コラーゲンペプチドの分子量

コラーゲンの分子量は約30万ですが、サプリメントでのコラーゲンの分子量と言えば原料である「コラーゲンペプチド」の分子量で表すことができます。ですので、『コラーゲンペプチドは平均分子量が3000』という表現になります。「分子量3000」と表現した場合、全てが分子量3000のコラーゲンペプチドというわけではありません。

「コラーゲントリペプチド配合」と書かれていてるトリペプチドとジペプチドでも、全部がトリペプチドではなく、トリペプチドの含有率が他のコラーゲンペプチドよりも優位に高いということで、20%前後の場合が多いと言われています。

コラーゲンとゼラチンとコラーゲンペプチド

コラーゲンは、繊維状のタンパク質が3本集まって、螺旋の鎖構造をしています。コラーゲン自体は、生のままでは人間の消化酵素や体温ではほとんど消化できません。ですので、加熱してコラーゲンをゼラチンに変性する必要がります。加熱することで、体内で消化吸収することができるようになります。

ゼラチンは、コラーゲンに熱を加えて変性させたものです。絡み合った3本のアミノ酸鎖が熱を加えることでバラバラになります。コラーゲンのアミノ酸鎖がほどけたゼラチンは、水にも溶けますし、体内で消化吸収できるようになります。加熱すると水に溶け、冷やすとゲル化するという特徴があります。

コラーゲンペプチドは、コラーゲンが熱などによってゼラチンに変性し、ゼラチンを酵素分解して低分子化したものです。コラーゲンペプチドは、吸収性も高く、ペプチドが持つ特性が健康に役立つ可能性があると期待されています。

これらのコラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチドは、状態が変わっただけで構成するアミノ酸の組成はほぼ変わりません。

分子量とは

コラーゲンの分子量

分子量とは分子を構成する原子の原子量の総和になります。そして、分子量の大切なポイントは「平均」だということです。

分子量という表現がコラーゲンサプリメントに限らず、様々なサプリメントや機能性食品と呼ばれる健康食品に使われています。

分子とは、炭素(C)や水素(H)、酸素(O)や窒素(N)などの原子が複数個結合してできた電気的に中性な粒子のことで、物質の最小単位と言えます。

分子量単位の勘違い(ダルトン)

「分子量が○○○ダルトン」などという表現を目にしますが、ダルトンは質量を表す単位で分子量には単位を付けません。

その理由は、分子量の基になる原子量が、対象となる原子の質量と炭素(12C)原子1個の質量の12分の1量(統一原子質量単位量)に対する比率で表す相対的な量だからです。

わかりやすい例では、水の質量との相対値「比重」や音の速さとの相対値「マッハ」でしょうか。

比重が1.2とは言いますが、比重が1.2比重とは言いませんし、マッハ2とは言いますが、マッハが2マッハとも言いませんよね。

分子量の測り方

コラーゲンペプチドなどの平均分子量は、一般的にGPC法(Gel Permeation Chromatography:ゲル浸透クロマトグラフィー)で計測されます。GPC法では下記のグラフのように様々な分子量の分布がわかります。

Aは一定の分子量分子の分布が多く幅も広いです。Bは幅広く一応に分布しています。Cは狭い範囲で一定の分子量に集約されています。平均分子量の数平均分子量、重量平均分子量、z平均分子量はそれぞれ計算方法が違い分子の性質によって使い分けます。

同じ平均分子量でも、性質は各々によって変わってきます。

分子量は平均分子量分子量は個々の高分子化合物の平均、平均分子量によって決まります。先ほど述べた通り同じ種類の物質でもそれぞれで値が異なります。結合している単量体の数によって平均分子量は左右されます。

コラーゲンは平均分子量が約20万程度と言われ比較的大きい部類に入ります。一方で、サプリメントなどに使用されるコラーゲンペプチドは、低分子化しているため約3000程度と言われています。

平均分子量の種類

分子量の平均分子量は、「数平均分子量」「重量平均分子量」「z平均分子量」に分けられます。

数平均分子量は、高分子の鎖一本にフォーカスした分子量です。重量平均分子量は、合成した高分子の分子量が大きいものにフォーカスした分子量です。z平均分子量は、高分子量成分の寄与にフォーカスした分子量です。
サプリメント原料の平均分子量は、「数平均分子量<重量平均分子量<z平均分子量」となることから数平均分子量を使う場合が多いとされています。

分子量が小さい方が吸収が良い?

分子量によって吸収率に差があると言われています。コラーゲンは分子量が大きいため、人体で消化吸収されにくいと言われています。しかし、コラーゲンを低分子化したコラーゲンペプチドは、分子量を非常に小さくしているため消化管からの吸収率がコラーゲンに比べて優位だと考えられます。

ただ、コラーゲンとコラーゲンペプチドは、状態が変わっただけで構成するアミノ酸の組成はほぼ変わりません。ですので、サプリメントで摂取する方が、吸収面や金銭面などの様々なメリットを期待することができます。

消化されれば分子量での差はほぼ無い

コラーゲンサプリメントでは一般的には平均分子量3000~5000のコラーゲンペプチドが多く使われており、人間の消化能を前提とすれば分子量にあまりこだわる必要はありません。

コラーゲンを食事から摂取した場合は、体内で分解する過程がありますが、コラーゲンペプチドは体内に入ってから分解の過程を省くことができるので即効性を期待することができます。