コラーゲンの消化と吸収

「コラーゲンの補給」では、「コラーゲン」やコラーゲンが変性した「ゼラチン」やゼラチンを低分子化した「コラーゲンペプチド」(サプリメントやドリンク)を食べてもコラーゲの補給にはならないことを詳しく解説しました。

しかし、コラーゲンサプリメントの市場は相変わらず大きく、私の経験上も大部分の方が効果を実感しています。

なぜなんでしょうか?

これまでも、チラッチラッと触れてきましたが、最近になって注目されてきたのが「ペプチド」の作用です。

ただ、まだその学術発表は限られており、確かな科学的根拠(エビデンス)となる「多くの科学者によって再現性の確認や多角的な評価がなされている。」という要件を満たしていません。

そこで、効果アリとする学説の根拠となるコラーゲンの消化と吸収の特徴について詳しく解説してみましょう。

コラーゲンは消化されない

そうなんですね。

コラーゲンは消化されずに排泄されます。

といっても、コラーゲンの状態では人間の消化酵素で消化されないということです。

簡単に言えば、生肉や生の牛スジを食べても含まれているコラーゲンは消化されないということで、牛や豚の肉やスジも焼いたり炒めたり煮たりして加熱調理されていたらゼラチンに変性していますので、消化され吸収されます。

また、魚の刺身では魚のコラーゲンの変性温度が人間の体温よりも低いため、食べた後にゼラチンとなり、そのゼラチンは人間の消化酵素で消化されて吸収されます。

全部アミノ酸にはならない

学校で習った消化吸収では、「タンパク質は胃や腸でペプシンなどのタンパク質消化酵素でアミノ酸に分解されて吸収される。」と習いました。

コラーゲンはタンパク質の一種ですから、真面目に良く勉強していた方は「コラーゲンもアミノ酸に分解される。」と考えるわけです。

したがって、「コラーゲンでも肉や魚でも同じこと。」という結論になるのでしょう。

しかし、実際の体内の消化は試験管での実験のようにデジタル的ではありません。

同時に食べるものの種類や成分、体調や体質によってアナログ的な大きさに分解されるのです。

タンパク質であれば、まだいくつかのアミノ酸がつながったままの様々な大きさの状態であったり、炭水化物であれば、まだいくつかの糖がつながったままの様々な大きさの状態として存在します。

そして、小腸で吸収できるものとそうでないものに結果的に分別されているのです。

コラーゲン特有のアミノ酸とペプチド

「コラーゲンとは?」の「コラーゲンのアミノ酸組成」で説明しましたが、コラーゲンには他のタンパク質には無いアミノ酸があります。

それは「ヒドロキシプロリン」「ヒドロキシリジン」というアミノ酸です。

そもそもコラーゲンは、体の皮膚や骨に多く存在して体を形作る重要なタンパク質ですから、他のタンパク質以上に強度と弾力が必要なわけです。

その強度や弾力性を担うために他のタンパク質には無いアミノ酸が必要となっていると考えられています。

ゼラチンやコラーゲンサプリメントを食べると、ヒドロキシプロリンとプロリンヒドロキシプロリンとグリシンが結びついたペプチドが多く吸収されていることがわかっています。

食べたゼラチンやコラーゲンサプリメントの20%~30%が、アミノ酸に消化されていないヒドロキシプロリンとつながったペプチドのまま小腸から吸収され、血中に長時間存在するというのです。

このヒドロキシプロリンは、コラーゲンの三重らせん構造の「ねじれ」を作るアミノ酸で、この特有の結びつきがタンパク質消化酵素の働きを抑制しているわけです。

いかがでしょうか?

これまで、多くの人が

「コラーゲンも肉も魚も同じたんぱく質」と考え、

「消化されればアミノ酸になって吸収されるから・・・」として、

「コラーゲン効果なし」と結論付けてきたわけですが、

以上の事実から考えると、その根本から正しくないということになりますよね。

以上、コラーゲンの消化吸収でした。