グルコサミンとコンドロイチンとコラーゲンの関係・・・
という、日本国内の高齢化に伴うサプリメントの需要の変化を見て色々と考えていくうちに、今回の記事はこんなややこしいタイトルになってしまいました。
テレビCМでもいくつもの会社が「グルコサミン」配合のサプリメントを宣伝しており、コラーゲンに負けない大きな市場となっています。
そして「コンドロイチン」という成分もグルコサミンと同じく主に関節のサポート成分として知られるようになっています。
しかし、調べていくとコラーゲンと違って一般の消費者が商品を選択するにはかなり難しいということがわかってきました。
そこで、コラーゲンが専門ですが、長年サプリメントの受託製造にも関わってきた知見を活かして、グルコサミンとコンドロイチンとコラーゲンの関係について出来る限りわかりやすく解説してみます。
グルコサミンとは?
グルコサミンとは、グルコース(ブドウ糖)の一部がアミノ基に置換されたアミノ糖のひとつで、自然界ではカニやエビなどの外骨格のキチン質の主要成分として多量に存在しています。
人間の体では、グルコサミンはアセチル化され「Nアセチルグルコサミン」としてグルクロン酸という糖と交互に連結してムコ多糖(グリコサミノグリカン)のひとつであるヒアルロン酸を構成しています。
グルコサミンは、体内ではNアセチルグルコサミンとなってヒアルロン酸の部品になるということです。
このヒアルロン酸は、ご存知のように皮膚の真皮にも多く含まれ水分を保持する機能があり、コラーゲンとエラスチンが作るマトリックスの中で肌の弾力と潤いを担っています。
そして、ヒアルロン酸は後記のコンドロイチン硫酸などと共に関節軟骨のプロテオグリカンという糖タンパク質を構成しています。
ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などでできた糖タンパク質のプロテオグリカンは、コラーゲンと共に関節の軟骨を構成し、関節での衝撃吸収機能と潤滑機能を担っています。
サプリメントの原料としてのグルコサミンは、カニやエビの殻を原料とするものと微生物の力を利用して発酵生産された微生物キチンから製造されたものがあります。
また、グルコサミンが体内ではNアセチルグルコサミンとなって存在していることから、Nアセチルグルコサミンそのものがサプリメントの原料としても供給され、効率が良いと言われています。
あくまでもサプリメント原料メーカーが示す目安量ですが、グルコサミンが1000~1500mg/日、Nアセチルグルコサミンが500mg/日といわれています。
グルコサミンの効果につきましては、多数の論文が発表されており、効果アリなし両方の見解が交錯していますし、様々な商品に対する使用者の声も両方があり、詳細は別項に譲ります。
コンドロイチンとは?
コンドロイチンとは「コンドロイチン硫酸」といわれ、前記のヒアルロン酸と同じくムコ多糖(グリコサミノグリカン)のひとつで、ヒアルロン酸などと共に関節軟骨のプロテオグリカンという糖タンパク質を構成しています。
繰り返しになりますが、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸などでできた糖タンパク質のプロテオグリカンは、コラーゲンと共に関節の軟骨を構成し、関節での衝撃吸収機能と潤滑機能を担っています。
サプリメントの原料としてのコンドロイチン硫酸は、サメ軟骨や豚軟骨、鮭やその他魚介類を原料とするものがあります。
コンドロイチン硫酸は医薬品?
関節サポートのサプリメントでは、グルコサミンとコンドロイチン硫酸の両方を配合したものが多いのですが、そのようなサプリメントを選びづらくしているのがコンドロイチン硫酸です。
コンドロイチン硫酸は、コンドロイチン硫酸ナトリウムとして関節の痛みに効く医薬品としても販売されています。
そして、サプリメントでも使用されています・・・
何が違うのか?
それは、簡単に言えば「純度」です。
医薬品で使用されるコンドロイチン硫酸ナトリウムは、成分名「コンドロイチン硫酸エステルナトリウム」純度100%が配合されています。
一方、サプリメントで使用されているのは、コンドロイチン硫酸を含有する原料が配合されているのです。
ですから、例えば実際のコンドロイチン硫酸の含有量が明記されていないものが多いようです。
のように表記され、実は、サプリメントで使用されるコンドロイチン硫酸を含有する原料では、原料メーカーはコンドロイチン硫酸の含有率を規格書でサプリメントメーカーに開示しています。
先程の例で言うと、例えば含有率が20%と明記してあれば、コンドロイチン硫酸は240㎎(1200×0.2)だとわかりますが、含有率を表記していないメーカーが多いんですね。
一番わかりやすいのは、明確に「コンドロイチン硫酸240㎎」表記してあることですので、 と表記してあるものより信頼性が高いと感じます。
これも、あくまでもサプリメント原料メーカーが示す目安量ですが、コンドロイチン硫酸は800~1000mg/日といわれています。
コンドロイチン硫酸は医薬品として認められているものですから、効果があることは証明されていますが、サプリメントとしての経口摂取ではグルコサミン同様に効果アリなしが交錯しています。
グルコサミンとコンドロイチンとコラーゲンの関係
改めて、関節軟骨でのグルコサミンとコンドロイチンとコラーゲンの関係について、その構成を図にしてみました。
大きな特徴は、水分が80%も含まれるということでしょう。
そして、水分の次に多いのがコラーゲンで約12%となっています。
軟骨でのコラーゲンは構造性たんぱくとして軟骨の形を維持する役割を担っています。
その他を除いて次に多いのがプロテオグリカンでわずか約2%しかありませんが、80%の水分を含む重要な役割を担っています。
プロテオグリカンは、95%のグリコサミノグリカン(ムコ多糖)と5%のタンパク質でできています。
このグリコサミノグリカン(ムコ多糖)を「ヒアルロン酸(Nアセチルグルコサミン+グルクロン酸)」「コンドロイチン硫酸」、その他に「ヘパラン硫酸」「ケタラン硫酸」が構成しています。
図のように、長いヒアルロン酸ポリマーを芯として、コアタンパクに多数のグリコサミノグリカン(ムコ多糖)が枝のように付着したものがプロテオグリカンで、この細かい枝の間に水分子を引き寄せて保持しているのです。
これらの、コラーゲンやヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などは軟骨にある軟骨細胞が生成しており、劣化した軟骨成分を効率よく代謝し、損傷を直ちに修復できれば関節の疾患は抑制できるのですが、軟骨細胞自体が加齢とともに少なくなり、老化によるリスクは高くなってしまいます。
以上、長くなりましたが、グルコサミンとコンドロイチンとコラーゲンの関係についてでした。