「コラーゲンの代謝」で、コラーゲンの劣化が老化の大きな要因であると説明しました。
では、コラーゲンはどのように劣化していくのでしょうか?
その仕組みについて解説いたしますが、その前にまず「老化」について解説しましょう。
老化の原因
酸化
老化の原因としてよく知られていることのひとつに「酸化」があります。
私たちは、呼吸をすることで空気中の酸素を体内に取り入れ、酸素は血液によって細胞に運ばれて細胞内のミトコンドリアでのエネルギー代謝に使われています。
この代謝反応の過程で、約2%の割合で活性酸素が発生していると言われています。
酸素分子がより反応性が高い化合物に変化したものを活性酸素と呼び、人間の細胞内では主に以下の4種類が発現します。
- スーパーオキシド(・O2–)
- ヒドロキシルラジカル(HO・)
- 過酸化水素(H2O2)
- 一重項酸素(1O2)
これらの活性酸素が老化の原因となり、さらには過酸化脂質を増加させて動脈硬化や血栓の原因となったり、不飽和脂肪酸を増加させて心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めたりと、現代人の病気の90%が活性酸素によるものと言われています。
活性酸素の発生を抑制するために抗酸化物質を積極的に摂ることがすすめられますが、その抗酸化物質には「ビタミンC」「ビタミンE」「βカロチン」「ポリフェノール」などがあります。
基本的には、緑黄色野菜をバランスよく食べていればそんなに不足することがない成分ですが、バランスの良い食事が摂りにくい人にはサプリメントで補うことをおすすめします。
糖化
さらに、老化の要因として「糖化」というものがあります。
糖化とは、毎日の食事などで摂りいれる糖の一部が体のタンパク質のアミノ酸と反応してAGEs(終末糖化産物)といわれる老化物質が増えることです。
AGEsも老化だけではなく、糖尿病性合併症や動脈硬化など様々な病気の原因になります。
ですから、AGEsを溜めないために、糖質制限や運動、禁煙や野菜や果物の摂取などが良いとすすめられています。
コラーゲンの酸化「光老化」
このように、老化の大きな原因として「酸化」と「糖化」があるわけですが、コラーゲンの酸化は主に紫外線による活性酸素の発生によって起こります。
紫外線を浴びると細胞を防御するために活性酸素が発生するのですが、その活性酸素がコラーゲン線維にダメージを与えて正常な構造を壊してしまうのです。
活性酸素の影響を受けたコラーゲン線維は不自然な結びつきが増えて固くなるため、新陳代謝が鈍くなり老化へとつながるわけですが、このことを「光老化」と言います。。
ということは、シミやソバカス対策だけではなく老化にも紫外線は極力避けるべきなんです。
コラーゲンの糖化
では、コラーゲンの糖化はどんな仕組みで起こり、何が老化の原因となるのでしょうか?
AGEsなどの糖化された物質は体内からゆっくりと排出されるのですが、コラーゲンは非常に寿命の長いタンパク質であるためダメージが蓄積しやすいのです。
コラーゲンは、必要とされる強度や弾力を補強するために「架橋」でつながっています。
その架橋にAGEsが付くと架橋が劣化してしまい「悪い架橋」になってしまうのです。
「悪い架橋」が付いたコラーゲンは分解されにくく、代謝がスムーズに行われにくくなるのです。
その結果、代謝が行われずに古くなって硬くなったコラーゲンはその機能が低下し、
- 肌の張りがなくなる。
- 骨がもろくなる。
- 軟骨がなめらかさを失う。
というようなことが起きてしまいます。
「コラーゲンの補給」で紹介したこのグラフでは、代謝されずに古く硬く劣化したコラーゲンが増えて新しい劣化していないコラーゲンがこれだけ減るというグラフなんですね。
前述しましたが、劣化コラーゲンの増加を抑制するには、糖質制限や運動、禁煙や野菜や果物の摂取などを心がけると共に、コラーゲン代謝の促進が必要になるわけです。