脂肪由来間葉系幹細胞

脂肪由来間葉系幹細胞・・・しぼうゆらいかんようけいかんさいぼう・・・

何とも難しそうなタイトルですが、コラーゲンに関する情報です。

2015年6月16日にロート製薬株式会社がリリースした内容です。

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:吉野俊昭)は、「再生美容」や「機能性素材の探索」をテーマに掲げる研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」で研究を行い、脂肪由来間葉系幹細胞がコラーゲン線維を形成することを確認しました。コラーゲン線維は真皮層で線維芽細胞から生成され、肌のハリ・弾力を生み出しています。今回、脂肪由来間葉系幹細胞が線維芽細胞と同様にコラーゲンの線維を形成することを確認しました。また、幹細胞は細胞や組織の再生のため、修復部位に遊走する働きがありますが、幹細胞の遊走を促進し、さらに幹細胞自体を増殖させる素材を発見しました。加齢等で弱ったコラーゲン線維の増強等に貢献すると期待できます。本研究結果は今後、アンチエイジング製品開発に応用していきます。

ポイントは2つです。

  1. 脂肪由来間葉系幹細胞がコラーゲン線維を形成することを確認
  2. 脂肪由来間葉系幹細胞の遊走を促進し増殖させる素材を発見

脂肪由来間葉系幹細胞とは?

さて、聞きなれない「脂肪由来間葉系幹細胞(しぼうゆらいかんようけいかんさいぼう)」とはどんな細胞なのでしょう。

名前の脂肪由来間葉系幹細胞の最後に「幹細胞」と付いていますから、幹細胞の一種だということが推測できます。

幹細胞という言葉は、最近になってよく聞くようになりましたが、どんな細胞でしょうか?

幹細胞とは?

幹細胞とは、「細胞を生む細胞」のことです。

幹細胞は大きく2種類に分けられ、皮膚や血液のように決まった組織や臓器にある「組織幹細胞」とES細胞(胚性幹細胞)のように身体の細胞であればどのような細胞でも作り出すことのできる「多能性幹細胞」があります。

色々と話題にもなり、今後の進展が大きく期待されている「iPS細胞(induced Pluripotent Stem Cell)」は、普通の細胞をもとに人工的につくられた「多能性幹細胞」です。

組織幹細胞は、多能性幹細胞と違い何にでもなれるのではなく、血をつくる造血幹細胞であれば血液系の細胞、神経系をつくる神経幹細胞であれば神経系の細胞のみというように役目が決まっており、その他に腸の細胞に関わる幹細胞、骨や軟骨や心筋などに関わる幹細胞など多種類存在しています。

前記の骨や軟骨や心筋などに関わる幹細胞を「間葉系幹細胞」といい、そのなかで脂肪の中に含まれている間葉系幹細胞を「脂肪由来間葉系幹細胞」といいます。

脂肪由来間葉系幹細胞がコラーゲン線維を形成

前置きが長くなりましたが、皮膚でコラーゲンを生成し線維化する細胞としては真皮に多く存在する「線維芽細胞」が主役です。

今回の発表では、既にコラーゲンを生成するということはわかっていた脂肪由来間葉系幹細胞がコーゲンを線維化もすることを確認したということです。

そして、次につながります。

脂肪由来間葉系幹細胞の遊走を促進し増殖させる素材

「ステムSコンプレックス」というロート製薬が3種類の素材を組み合わせ独自で開発した素材が、脂肪由来間葉系幹細胞の遊走を促進し増殖させるとのこと・・・

要は、コラーゲンを産生し線維化する脂肪由来間葉系幹細胞が、ステムSコンプレックスという素材によって増えて集まれば、肌でのコラーゲン生成が増強されアンチエイジング効果が期待できるということのようです。

しかし、このステムSコンプレックスを配合し、実際に効果のある化粧品の開発はこれからということですので、今後の進展が期待されています。

以上、今回は少し難しい内容でしたが、脂肪由来間葉系幹細胞のコラーゲン生成について解説しました。